新・利他の経済学-14 The New Economics of Altruism

市場均衡と余剰

市場機構というのは、多くの市場参加者が集まることによって、市場の価格メカニズムによって自己だけでなく、他者(他社)の満足を増やすとう妙なるものです。それが市場がもたらす余剰です。それを示すのが市場均衡と余剰分析です。アダム・スミスが「諸国民の富」(“Wealth of Nations”)のなかで、市場メカニズムを「神の見えざる手」(Invisible Hand)とあらわしたわけです。

競争的市場均衡

下図にX財の競争的市場均衡を示しました。Dは市場需要曲線、Sは市場供給曲線、E 点が均衡点です。均衡価格P*、均衡需要量、供給量はX*です。

消費者が追加的(限界的)1単位に支払ってもよい額 Marginal willingness to pay

このように競争市場では、価格P*、需要供給量がX*に決まるわけですが、市場需要曲線は右下がりです。右下がりの需要曲線は何を意味しているかというと、P*より高い価格でもX財を需要したい消費者がいるということです。需要曲線の高さは、X財市場において、追加的(限界的)に1単位供給した(需要する)時に、消費者が支払っても良い額(Willingness to pay)をあらわしています。X*での限界的(追加的)な支払っても良い額はP*になります。□HOX*E が市場均衡Eにいたるまでに、消費者がX財の追加的1単位の供給に対して支払ってもよい額の総額です。

◎ ある財の 需要曲線 示すのは 追加単位に 払ってよい額 (経済学短歌)

消費者余剰 Consumer Surplus

X財の市場均衡E、均衡価格P*のとき、消費者が支払ってよい額の総額は□HOX*E、一方、支払う額は□P*OX*Eです。したがって、△HP*E (=□HOX*E – □P*OX*E) が消費者余剰になります。

これは何を意味するかというと、消費者が自らの効用最大化を目的に行動した時、市場メカニズムを通じて、実は、生産者は勿論(以下に説明する生産者余剰による)、他者(他の消費者)をも利することになるのです。市場メカニズムは、このように他者を利する、利他のメカニズムとして機能しているのです。

◎ ある財の 需要曲線 しめすのは 払ってよい額 追加単位に (経済学短歌)

◎ 消費者の 余剰というは 支払いと 支払うつもりの 差額の集積(シューセキ) (経済学短歌)

◎ 消費者の 余剰というは 市場機構 他にぞもたらす 思わぬ余剰 (経済学短歌)

◎ 市場とは 他者の余剰を もたらすよ 利他の経済 もたらす機構 (経済学短歌)

◎ 市場(シジョー)機構 その優れるは 集まりて 他をば利してぞ 自己も満足 (経済学短歌)

供給曲線と限界費用

一方、生産者の供給曲線は、X財市場において、X財を追加的(限界的)1単位生産(供給)する場合の限界費用をあらわしています。なぜなら、生産者は、利潤最大化行動にしたがって、限界収入(=価格)=限界費用にしたがって、X財を追加的に供給するからです。したがって、□LOX*E は、市場均衡における限界費用の総額、生産費になります。

生産者の売上収入は、いうまでもなく□P*OX*E (=P*・X*) です。

したがって、生産者余剰は、□P*OX*E から□LOX*E をひいた□P*LE になります(下図)。

 

◎ 生産者 余剰というは 均衡の 価格とMC(エムシー) 差額の合計(ゴーケイ) (経済学短歌) 

◎ 生産者 余剰というは 均衡で 生産量の 粗利(アラリ)の総計 (経済学短歌)

 

総余剰

消費者余剰△HP*Eと生産者余剰△P*LE を合計したものが総余剰△HLE になります(下図)。(政府部門は外して考えています)

◎ 総余剰 消費者余剰と 生産者 余剰の合計 なりとしるべし (経済学短歌)

◎ 市場での 競争均衡 示すのは 価格機構が 余剰生み出す (経済学短歌)

◎ 妙なるは 市場均衡 メカニズム 見えざる手にて 余剰生み出す (経済学短歌)

 

by Kota Nakako

2021/12/11

 

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