クレーのある部屋4 The Room with pictures of Paul Klee – 4

黄(イエロー)のやさしさ Three Houses at the Bridge 1922

クレーが南方への憧憬をもっていたことは前章で述べた。クレーの年譜をみると、1914年35歳のときにチュニジアに旅行した。「イタリア経由で帰国、アラブの世界とその色彩に深く魅了され、多くの水彩デッサンを描く。『色は私を永遠にとらえた。私と色は一体だ』(日記、4月16日)」(前掲書)とある。その前年1913年に、「光について」というドローネーの論文を訳しシュトゥルム誌に発表している。色彩への意識と、創造、技巧を先鋭化させていったのだろう。

このことは色からクレーの絵(プリント)を選別していく、愛好家としてのわたしのスタンスと一致していることに気づく。

やや脱線するが、Britannica(ブリタニカ)では、黄(Yellow)は次のように説明されている。

黄(イエロー)光は、物理学では570-580ナノメートルの波長レンジで、可視スペクトルの中央にある。芸術においては、オレンジと緑の間、補完的な紫の反対に位置する」(Yellow, in physics, light in the wavelength range of 570–580 nanometres, which is in the middle of the visible spectrum. In art, yellow is a colour on the conventional wheel, located between orange and green and opposite violet, its complement. – Britannica)

また、デジタル大辞泉(小学館)では、黄(イエロー)は色の三原色(減法混色)のひとつとされている。

黄(イエロー)は、光の可視スペクトルの中央にあり、太陽(夏etc.)、菜の花(春)、また紅黄葉(秋)などをイメージする色でもある。すべてを包み込むような、やさしくまたあたたかい色だ。

やわらかいイエローを基調にした絵(プリント)をまず1点選びたい。アフロのクレーの作品リストをむさぶるように物色する。黄(イエロー)を基調にした絵(プリント)は多い、という印象を受ける。黄という色の性格上、そう感じるのかもしれない。いや、実際のところ選択肢は多い。ざっとみただけでも、

Monument on the Border of the Fertile
Robe-Yellow 1919
The Invention
The Bavarian Don Givanni
The House on the Hill 1923
Evening in Egypt
Arab City
Maske Motte
Bartolo: La vendetta
Small Composition I
Town by the Canal
Madchenklasse im Freien
Ort der Verabredung
etc.

わたしは、まずは1点の絵(プリント)から黄(イエロー)の最大のやさしさ、あたたかさを味わいたい。

そして、選んだのが、次の作品(XLサイズ)だ。

Three Houses at the Bridge 1922

この作品は、黄(イエロー)のやさしさとあたたかさ、アーキテクチャーの幾何学的な美、理知を調和させたものといえるかもしれない。このテーマは別のところでまた語りたい。

応接の一面に、この絵(プリント)をかけた。その絵がやさしく話しかけてくれるような気がした。

わたしの選択に間違いなかったことを実感した。

 

 

 

 

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