ロンドン 不動産調査 (2) ウィンブルドン
ロンドンの高級郊外型住宅地 - 国際的名声
ウィンブルドン・テニスが開催される、全英クラブ(オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ)のあるウィンブルドン・パーク・エリアの不動産を見てみたい。このエリアは、ロンドン勤務時代(1988-1992)に3年半住んだエリアである。久しぶりに訪れたが(3月下旬)、やはり、当時の様子と大きな変化は感じられなかった。ウィンブルドン・ビレッジからチャーチロードを下っていくと、右手にウィンブルドン・パーク、左手に全英クラブが見えてくる。広々として緑豊かな英国ならではの風景である。
私たち家族は、当時、英国では一般的な半戸建て(semi-detached)の家を借りて住んでいた。しかし、この地域に最もふさわしいのは、例えば、ウィンブルドン・パークから広大なウィンブルドン・コモンへ抜けるクイーンズメア・ロード(Queensmere Road)添いに建ち並ぶ、庭付きの完全一戸建て(Detached)であると感じていた。
一戸建て 6ベッドルームが典型 - 平均取引価格7億6,400万円
そこで、このエリアの街並みを形成する典型的な住宅として、6ベッドルームの一戸建て(detached)の売出物件11を見てみたい。それをまとめたのが下表である。平均の募集価格は、399万ポンド(7億7,800万円; 1ポンド195円換算)である。この価格は、過去12カ月のこのエリア(SW19)のマーケットデータ、成約36件の平均価格392万ポンド(7億6,400万円; 同上)とほぼ同等である。また、先に見た、サウス・ケンジントンのフラットの事例とは異なり、ここで見るウィンブルドンの11件は、全て所有権(Freehold)である。平均の床面積は433㎡(131坪)とかなり大きい。
英国債10年をやや下回る賃貸利回り - 一戸建てとしては高い利回り
また、マーケットデータより、このエリアの一戸建て6ベッドルーム (detached with 6 bedrooms)の平均月額賃料は、14,982ポンド(277万円)、年間179,784ポンド(3505万円)となっている。表面利回りは、4.56%となり、英国債10年の利回り4.65%を若干下回る水準。これだけの賃料を支払えるテナントがいるというのは、やはりウィンブルドンという国際的名声があるためだろうか。
取引慣行の違い
日本と異なり、更地での売買は少ないようで、土地建物一体として取引されるのがスタンダードのようだ。実際、ロンドンを歩いていて更地というのは、あまり見たことが無い。
土地価格の推定 - 主観的仮定
おおまかに土地価格を推定するために、以下の仮定をおいて算定してみたい。
※本来であれば、実際の規制を調べて算出推定すべきであるが、あえて主観的な仮定をおいて算出した。したがって、ここでの算定は、あくまで主観的な推定値であることをご承知おきいただきたい。
(仮定)
1. 建ぺい率/容積率=30/80
2. 容積率フル消化
3. 坪当り建築費3,077ポンド(60万円)
以上の主観的な仮定より、平均土地面積は、544㎡(164坪)、平均土地価格5億1,476万円、平米単価95.6万円(坪単価316万円)と推定される。
土地価格は、東京の超高級住宅地と同等? (推定の限界)
取引慣行や、サイズが異なるため、単純な比較は難しく、取引額、単価の両面から、東京の超高級住宅地と同等であるといえるかもしれない。くりかえしになるが、あくまで上記、主観的仮定をおいての推定値である。
by Kota Nakako
2025/06/08


