2023 地価レビュー(商業地: 仙台青葉5-4)

2023年公示地価レビュー
仙台市 商業 (仙台青葉5-4) 

住居表示:仙台市青葉区中央2-6-19

仙台市青葉区を訪問した。東北最大の都市にふさわしい規模と街並みの商業地。2015年12月6日に仙台市営地下鉄東西線が開業し、魅力度がUP。アーケード街が6つあり全長約200メートルは、全国初といわれる大理石舗装。地価動向を探ってみたい。

公示地価は、959,000(円/m²)で、前年比+1.6%

現況は、店舗兼事務所(SRC 7F1B)。周辺は、中高層の店舗、事務所ビル等が建ち並ぶ商業地域。南西8m市道に接道。JR仙台駅から歩3分、地下鉄広瀬通から歩2分(150m)。法令上の制限等は、商業(80,600)、防火、駐車場整備地区(100,480)

近隣地域は、アーケード街近くのファッション関連等若者向けの店舗が多い商業地域。標準的使用は、高層店舗付事務所地。標準的画地は、間口約12.0m、奥行約25.0m、規模300㎡。

地域要因の将来予測は、「仙台駅に近い飲食店、アパレルなどの店舗が見られる地域である。仙台市の中心部のアーケード街近くの商業地域であるが投資需要は、概ね堅調であるが、今後の動向が懸念される」としている。懸念というのは、少子高齢化、人口減少、東京一極集中を意識してのものだろうか。但し、鑑定評価書Bでは、「アーケード街背後の店舗系用途が多い商業地域であり、現状維持と予測する。仙台市中心部商店街の通行量はコロナ禍以前よりは減少しているものの回復傾向が見られ、地価は緩やかな上昇傾向で推移すると予測する」とし、懸念は示していない。

最有効使用は、標準的使用と同じく、高層店舗付事務所地。取引事例比較法による比準価格は1,000,000円/㎡、収益還元法による収益価格は、802,000円/㎡と、比準価格の方が約25%高くなっている。

需要は依然として高く、良好な資金調達環境を背景として、地価は上昇傾向が続いている

価格形成要因の変動状況に関し、一般的要因については、「青葉区中心商業地では需要は依然として高く、良好な資金調達環境を背景として、地価は上昇傾向が続いている」としている。地域要因は、「商店街通り背後で人通りの多い地域で繁華性が高い。仙台駅東口の開発の波及効果により、仙台駅に近い地域の需要は回復傾向にある」としている。個別的要因に変動はない。

需要の中心となる価格帯は、300㎡程度の更地で3億円程度

市場の特性については「同一需給圏はJR仙台駅や地下鉄広瀬通駅に近い高度商業地域背後にある商業地域である。需要者の中心は地元民間企業、事業会社が大半を占める。市内中心部の商業地ではオフィス空室率の改善が続いているが、コロナ禍の影響により需要の減退が懸念される。需要の中心となる価格帯は、300㎡程度の更地で3億円程度である」としている。(100万円/㎡程度)

試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由については、「比準価格は豊富な取引事例の中から事例を選択し試算したもので、現実の市場を適切に反映している価格と認められる。需要者の多くは投資採算性に着目して取引するものの収益価格は賃貸することを想定して求めたもので変動要素が多く含まれており、検討の余地がある。よって本件においては実証性のある比準価格と収益価格を関連づけるとともに、代表標準地との検討も踏まえて鑑定評価額を上記の通り決定した」としている。なお、代表標準地との比準から求められた対象標準地の基準価格は、955,000円である。

賃貸を想定した比準価格に「変動要素が多く含まれている」と述べている点に注意が必要だ。

仙台市は人口109万人、仙台都市圏150万人を擁する東北唯一の政令指定都市。若年層の人口割合も国内トップクラス

「仙台市は宮城県のほぼ中央に位置し、伊達政宗公の時代から、東北地方の中心都市として発展してきています。東北地方で唯一の政令指定都市である仙台は、109万人の人口を擁し、首都圏からの良好なアクセスもあいまって、周辺市町村を含めて約150万人の仙台都市圏を形成し、東北地方の商業の中心となっています。また、仙台市及びその近郊には大学、高等専門学校、専門学校といった高等教育機関が豊富にあり、若くて優秀な学生が集まるまち「学都」としても有名です。学生も含む若年層の人口割合も国内トップクラスであり、力強く、活気のある街です。」(仙台市ってどんなところ?|仙台市 (city.sendai.jp))とある。仙台市は人口109万人、仙台都市圏150万人を擁する東北唯一の政令指定都市だ。若年層の人口割合も国内トップクラスであり、先行き有望にも見える。

鑑定評価書に示された若干の先行き不安は、やや慎重に見える。さらなる検証が必要だろう。

土地の還元利回り 4.4%  (参考)複合不動産の利回り 5.4% (公示価格ベース) 

なお、収益還元法による収益価格の算定にあたっての想定建物は、基準建ぺい率100.0%、基準容積率480%。構想店舗付事務所RC7階建て、建築面積240.0㎡、延床面積1,617.90㎡、1階店舗(フロア貸し)、2階以上事務所(各階部分貸し)。

最有効使用の建物等の初期投資額は、459,000,000 円 (= 270,000円/㎡ × 1,617.90 ㎡ × (100% + 5.00 %))

総収益55,570,735円、総費用13,322,080 円、純収益42,248,655円、土地に帰属する純収益29,655,000円。土地の還元利回り4.4%。収益価格は262,455,864円(772,000円/㎡)。1㎡当たり月額支払い賃料は、1F 4,200円、2~7F 3,500円を想定している。

(参考) 複合不動産の利回り: 
5.8% (収益価格ベース)
5.4% (公示価格ベース)

鑑定評価書 (mlit.go.jp) を基にKN作成

by Kota Nakako

2023.4

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