英訳 万葉撰歌-34 Selected Poems of Manyoshu-34
昨日今日(キノフケフ) 君に逢はずて するすべの たどきを知らに 音(ネ)のみしそ泣く 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 昨日も今日も、あなたにお逢いせず、どうしてよいか、何もてだてがわからずに、涙…
~ 株式会社ゼネラル・カラー・サービス 中湖康太 経済文化コラム ~
昨日今日(キノフケフ) 君に逢はずて するすべの たどきを知らに 音(ネ)のみしそ泣く 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 昨日も今日も、あなたにお逢いせず、どうしてよいか、何もてだてがわからずに、涙…
逢はむ日の 形身(カタミ)にせよと たわやめの 思ひ乱れて 逢へる衣(コロモ)そ 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 逢える日までの形見にしてほしいと、か弱い女のわたしが、乱れる心で縫った衣ですよ。 …
春の日の うら悲しきに 後(オク)れ居(イ)て 君に恋ひつつ 現(ウツ)しけめやも 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 春の日の、もの悲しい時に、家に残っていて、あなたを恋い慕いながら、正気でいられま…
白たへの 我が下衣(シタゴロモ) 失はず 持てれ我(ア)が背子(セコ) 直(タダ)に逢ふまでに 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) (白たへの; 衣に掛かる枕詞) 私の下衣(下着)をなくさないよう…
天地(アマツチ)の 底(ソコ)ひの裏に 我(ア)がごとく 君に恋ふらむ 人はさねあらじ 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 天地の隅々にも、わたしほどにあなたを恋している人は、けっしてないでしょう。 …
他国(ヒトクニ)に 君をいませて 何時(イツ)までか 我(ア)が恋ひ居(ヲ)らむ 時の知らなく 狭野弟上娘子(サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 他国にあなたをお置きして(おはさせて; いらっしゃるようにして)、何時…
他国(ヒトクニ)は 住み悪(ア)しとそいふ 速(スムヤ)けく はや帰りませ 恋ひ死なぬとに 狭野弟上娘子(サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 他国は住みづらいとこそいいます。すみやかに、早く帰ってきてください。あなた…
我がやどの 松の葉見つつ 我(アレ)待たむはや帰りませ 恋ひ死なぬとに 狭野弟上娘子(サノノオトガミオトメ) (現代語訳) わが家の松(マツ)の葉を見ながら、私は待つ(マツ)ことにしましょう。早くお帰りください。恋が死…
人の植(ウ)うる 田は植ゑまさず 今更(イマサラ)に 国別れして 我(アレ)はいかにせむ 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 人が植える、田植えもなさらずに、今さらに国(故郷)を離れて行かれ、(残され…
このころは 恋ひつつもあらむ 玉くしげ 明けてをちより すべなかるべし 狭野弟上娘子 (サノノオトガミオトメ) (現代語訳) 今のうちは、恋しくはあっても堪えられましょうが、夜が明けた後は、どんなにか術のないことでしょ…