2023 地価レビュー 石巻5-1 商業

2023 地価レビュー
石巻5-1 商業

公示地価: 75,200 円/㎡  前年比-0.4% (前年標準地の価格 75,500 円/㎡)

(KNコメント)

宮城県で仙台に次ぐ、第二の都市。東日本大震災からの復興

石巻市を再び訪れた。1990年代、外資系証券アナリストとして紙パルプ業界を担当していた時期があった。日本製紙の製紙工場を見学したことがある。寿司が新鮮で非常に美味しかったことも記憶に残っている。

石巻市(人口13.7万人)は、宮城県(228万人)にあって、仙台市(108万人)に次ぐ、第二の都市。日本製紙工場は、石巻市の産業経済の重要な1角を占める。東日本大震災で甚大な被害を被るも、同社の経営判断により復興を遂げる。

日本製紙グループのHPには、次のように紹介されている。

日本製紙株式会社 石巻工場

「当工場は宮城県東沿岸部に位置し、臨海工場として立地条件が良く、また東北最大の河川である 北上川の豊富な水に恵まれています。大市場に近く、鉄道・トラックによる製品輸送の優位性を活 かし、高品質で安定した製品供給に努めています。 その生産内容は、機械パルプ・化学パルプ・古紙パルプなどの多彩な原料を使い、6台の抄紙機と 1台の塗工機により印刷・情報用紙・紙器原紙と様々な紙を生産しています。 紙生産のほかに、木質を燃料燃料とするバイオマスボイラ-による発電事業や、木質パルプを原料 としたセルロ-スナノファイバ-(cellenpia)の製造により、総合バイオマス工場へと変貌を遂げつ つあります。 また、当工場には日本野球連盟所属の硬式野球部があり、社会時野球チ-ムとして社会貢献活動 を通じ活躍しています。」(出所:日本製紙グループHP 石巻工場|日本製紙株式会社|日本製紙グループ (nipponpapergroup.com)

2021年5月14日、「ニュースリリース 石巻工場における事業構造転換について」を発表した。

「洋紙事業の主力工場である石巻工場(宮城県石巻市)において、塗工紙の生産設備であるN6号抄紙機を2022年5月末に停機することを決定いたしました。また、2023年度後半を目処に家庭紙事業への展開を図ることを前提に、同工場の事業構造転換を図ります。

N6号抄紙機は、当社最大級の塗工紙生産設備として2007年11月に稼働後、これまでお客様に高品質の製品供給を続けてきましたが、塗工紙を含む印刷用紙の需要は、少子化やデジタル化の進展に伴う構造的な減少に加え、新型コロナウイルス感染拡大に伴う生活様式の変化により、今後も大きく回復することがないまま、減少傾向を継続していくものと見込まれます。

当社は、本日公表した2030ビジョンにおいて『成長事業への経営資源のシフト』を強力に推進してまいります。その取り組みのひとつとして、N6号抄紙機の停機によって生じる生産設備の余力や人材を、成長事業である生活関連事業で活用してまいります。」石巻工場における事業構造転換について|ニュースリリース|日本製紙グループ (nipponpapergroup.com)

石巻5-1は、JR石巻駅前の商業地。

人口減少・高齢化

「市中心部では、各種公共施設の整備がなされたが、顧客誘因力を有する大型店舗等の新規出店は見られない」(市場の特性)

地域経済を支える水産加工業は、魚種の変化、人手不足、販路消失等により先行き懸念。人口減少・高齢化も相俟って地域経済は低調」(一般的要因)

「石巻駅前に位置する中心商業地域。飲食業の商況は回復途上。中心部と川東を結ぶ橋は開通したが、価格時点において特段の影響は見られない」(地域要因)

と、先行き懸念が示されている。人口減少・高齢化の影響は、東京などと比べてやはり大きいようだ。イオンモール石巻は、石巻駅から車で9分程のところにある。

臨海工場として立地条件の良さ

ただし、「臨海工場として立地条件が良く、また東北最大の河川である 北上川の豊富な水に恵まれています。大市場に近く、鉄道・トラックによる製品輸送の優位性・・・」(前述)とあるように、産業立地として優位性はあり、今後が注目される。

複合不動産の利回り: 6.7% (収益価格ベース)  6.0% (公示価格ベース)   (KN注)

(以下、鑑定評価書より)

標準地番号          石巻5-1
調査基準日          令和5年1月1日
所在及び地番      宮城県石巻市鋳銭場57番7
住居表示              鋳銭場3-13
用途区分              商業地
交通施設、距離   石巻、 90m
価格       75,200(円/m²)
対前年変動率(%) -0.4(%)(グラフ表示)
地積(m²)             203(m²)
形状(間口:奥行き)          (1.0:1.5)
利用区分、構造   建物などの敷地、S(鉄骨造) 3F
利用現況              店舗
給排水等状況      ガス  ・ 水道  ・ 下水
周辺の土地の利用現況      中低層の店舗ビル等が建ち並ぶ駅前の商業地域
前面道路の状況   西  21.0m  県道
その他の接面道路            
都市計画区域区分             市街化区域
用途区分、高度地区、防火・準防火             商業地域、 準防火地域
建ぺい率(%),容積率(%)   80(%) 400(%)

(近隣地域)

範囲:   東 0 m、西 50 m、南 80 m、北 20 m
標準的使用:      中層店舗併用事務所地
標準的画地の形状等:間口 約12.0 m、奥行 約17.0 m、規模 200 ㎡程度、形状 ほぼ長方形地域的特性: 石巻駅前に位置する中心商業地域
地域要因の将来予測: 石巻駅前の旧来からの中心商業地域。周辺には、市立病院や地域包括ケア拠点等が整備された。飲食・物販等の小規模店舗等が多く、商業地需要はやや低調、地価水準は下落基調で推移するものと予測する。

最有効使用の判定:          中層店舗併用事務所地

鑑定評価の手法の適用:

取引事例比較法   比準価格            77,500 円/㎡
収益還元法          収益価格            27,800 円/㎡

市場の特性:
同一需給圏は、石巻市の商業地域及び商住混在地域。主たる需要者は、自己利用目的で取得を企図する地元法人や個人事業主。市中心部では、各種公共施設の整備がなされたが、顧客誘因力を有する大型店舗等の新規出店は見られない。飲食業はコロナ禍からの商況回復途上、人口減少・高齢化も相俟って、商業地需要はやや弱含みである。取得目的、画地規模等により取引価格にはやや乖離があり、需要の中心価格帯を見出すのはやや困難である。

試算価格の調整・検証及び鑑定評価額の決定の理由:

石巻市内の中心商業地域に存する。主たる需要者は、収益性を重視し意思決定を行う法人や投資家等であるが、収益価格は賃料水準や空室率の査定等、多くの想定要素を含む。一方、比準価格は、現実の不動産市場における売買事例に基づき試算されており実証的である。本件においては、多数の取引事例に基づいて試算された実証的な比準価格を重視し、収益価格を比較考量し、鑑定評価額を上記の通り決定した。尚、代表標準地とは均衡を得ているものと判断した。

価格形成要因の変動状況:

[一般的要因] 地域経済を支える水産加工業は、魚種の変化、人手不足、販路消失等により先行き懸念。人口減少・高齢化も相俟って地域経済は低調。

[地域要因] 石巻駅前に位置する中心商業地域。飲食業の商況は回復途上。中心部と川東を結ぶ橋は開通したが。価格時点において特段の影響は見られない。

[個別的要因] 個別的要因に変動はない。

(参考) 

想定建物の状況
用  途: 店舗兼事務所
建築面積(㎡): 150.00
構造・階層: S3           
延床面積(㎡): 450.00
想定建物の概要: 3階建店舗・事務所(1階店舗:フロア貸し、2・3階事務所:フロア貸し)を想定。
有効面積(㎡)       1㎡当り月額支払賃料(円)               月額支払賃料(円)
1F 店舗             112.50                 2,270                                               255.375
2F 事務所          135.00                 1,746                                               225,710
3F 事務所          135.00                 1,746                                               235,710
計                        382.50                                                                         726,795

建物等の初期投資額:      85,700,000 円

総収益: 8,138,435 円     
総費用:          2,037,677 円     
純収益: ①-② 6,100,758 円     
建物等に帰属する純収益: 5,827,600 円     
土地に帰属する純収益: ③-④ 273,158 円     
未収入期間を考慮した土地に帰属する純収益 ⑤×α: 259,418円 (1,278 円/㎡)

土地の収益価格: 5,639,522 円    (27,800 円/㎡)
還元利回り(r-g):   4.6 %

鑑定評価書 (mlit.go.jp)  を基にKN作成

以上                       

By Kota Nakako

2023/4/2

 

                      

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