数値でみるアベノミクスの功績 Achievements of Abenomics in figures

アベノミクスの功績について、雇用、所得、年金の3つの重要分野に注目して数値をみてみたい。

安倍晋三内閣(第2次)は、2009年からの民主党政権(鳩山、菅、野田内閣)の後を受けて、2012年12月に発足し、2020年9月に健康の理由で辞任し、菅内閣に移行した。しかし、その後も、国内、世界に大きな影響力を持ち続けた。

まず、第一に雇用だ。なんといってもアベノミクスの最大の功績は多くの若者にとって、デフレ経済での厳しい就職難を払拭したことにあるのではないだろうか。失業率2~3%というのは、自然失業率水準と推定され、コロナ禍により産業間でのバラツキはあるものの基本的には人手不足であり、実質的な完全雇用経済を達成したといってよいだろう。(下図)

第二に、人口減少、少子高齢化の影響で、読み取り方が難しい面もあるが、所得、名目GDPにおいて成長をもたらしたことである。アベノミクスによる深刻なデフレから脱却したことが大きいといって良いだろう。(下図)

 

第三に、年金財政に活路を開いたことである。これは過度に保守的なそれまでの年金運用から、適正なリスクテークを行う、成長への投資を重視したGPIFの運用に象徴される。下図はGPIFの実績を示している。人口減少、少子高齢化の日本にとって、最大の課題のひとつが将来の年金制度をどう維持、発展させていくかである。そこに展望が得られれば、多くの人々、特に若い世代が希望を持って生きることが可能になるであろう。(下図)

アベノミクスの真価は、人口減少下にあって、日本がもつ最大の強みのひとつといってよい国内の民間部門の貯蓄を生かした適正なリスクテークと成長、つまり「投資の重視」である、といってよいであろう。

 

アベノミクスは、以上3つの点から、今世紀、さらに将来の日本の展望を開いた歴史的意義をもつ経済政策であったといえるであろう。

その安倍晋三元首相をあのような形で失うとは、日本国民、世界市民のひとりとして、本当にショックであり、残念でならない。

天才、英雄はしばしば、悲劇をもって永遠になる、と自らを慰めるのみである。

アベノミクスを再評価し、発展させ、今後に生かすことが、極めて重要ではないだろうか。

by Kota Nakako

2022/07/17

 

 

 

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